ドローンで道路点検実証へ 「“絆”特区」指定の長崎県で調査 サイバースマートシティ
産学官で次世代型スマートシティの構想・社会実装を推進する一般社団法人サイバースマートシティ創造協議会(東京、豊崎禎久代表理事)は、ドローンによる道路点検の実証調査を長崎県内で始める。現行法では原則禁止されている道路上空のドローン飛行で課題を検証し、規制緩和につなげる狙い。長崎県が指定されている「新技術実装連携“絆”特区」の調査事業の一環。
同協議会によると、現行の航空法上、ドローンでの道路上空の横断通過は可能だが、縦断飛行はできない。調査事業では、ドローンで道路上空を縦断飛行し、点検する際の技術的要件やリスク要因などを整理。自動車が接近した場合の回避システムなど安全対策も検討する。将来的な規制改革に向けた提言を目指す。
同協議会はこれまで長崎市など全国5市で、車にカメラなどを搭載した「車載型舗装測定」の手法で知見とノウハウを蓄積してきた。ドローンを用いた飛行点検や人工知能(AI)を組み合わせることで、点検業務の効率化、低コスト化が期待できる。災害時の迅速な被害実態の把握にもつなげる考えだ。10~11月に、長崎市内で実証実験する予定。
本年度の連携“絆”特区の県内調査事業は他に3件が採択された。2件はソフトバンク(東京)で、歩行者などの有無を機体カメラで確認しながら飛ばす「レベル3・5飛行」の住宅地上空での安全性検証と離着陸地点を無人化した遠隔操作の実証を提案。もう1件は、五島市の「そらいいな」で、有人地帯を目視なしで飛ばす「レベル4飛行」を、市街地のエリア単位で実現するための安全対策を検討する。