アスタミューゼ株式会社 テクノロジーインテリジェンス部部長 川口伸明様インタビュー記事より
益田スマートシティプロジェクトが取り上げられています。
ご著書では、他都市に先駆けてチャレンジをしている都市、スマートシティの事例として、茨城県つくば市や島根県益田市が紹介されていました。こうしたチャレンジを可能にしている条件はどのようなものでしょうか。
スマートシティへの挑戦に必要なものの1つは、その地域の課題となるものを抽出し、その地域で時をかけ、確実に実績を出しファンを増やすことです。そうすれば関係人口増加から始まり、移住希望者が増え、企業進出や企業投資も見込めます。
もう1つは、企業、行政、地域社会がともにどんな未来をめざしたいのかというストーリーを描いて、共有していること。特定分野にのみ先進技術を導入しても、数年の実証実験としての成果しか得られていないケースも多いのではないでしょうか。
その点、本書で解説しているつくば市や益田市は、その地の生活・地場産業・地域の人々を核に、生活の質を向上させ、新しい体験価値を生み出しています。益田市だと、地元の農作物を守るための鳥獣対策や地域防災としての水位計を用いた水害対策、高齢者のひとり歩きを見守るための地域ネットワーク構築など、生活に根差したプロジェクトを実施しています。住民の生活を安心で豊かなものにしようというストーリーのもとに、各主体がこうした施策を総合的に行っているからこそ、持続的な発展という成果が出ているのです。