プロジェクト PROJECT

街中河川水位監視 IoT水位計システム(フェーズ1)

フェーズ1 益田市水路の水位モニタリング事業(タイプ1のPoC)

実証実験は完了しました (2017年7月18日~2019年2月1日)

大きな河川につながる水路。一般に、河川の上流に大雨が降ると、支流の川の水が水路に逆流し、水路が氾濫するというトラブルが発生します。島根県益田市は、高津川という一級河川を抱えており、この「水路の氾濫」という問題に頭を悩ませています。この問題の解決に乗り出したのがアーキテクトグランドトデザイン(AGD)とオムロン、シマネ益田電子(SME)です。

AGDはオーガナイザーの役割を果たすと同時に長距離伝送を低消費電力で実行できるLoRa方式を適用するLPWA(Low Power Wide Area)無線通信技術を提供します。水路の推移を測定するのは、測定精度がきわめて高いオムロンの絶対圧センサーです。そして、AGD・オムロンが絶対圧センサーに無線通信技術を組み合わせたIoTモジュールとゲートウェイを開発し、まとめます。

このIoTモジュールは十数個用意し、益田市内にある水路に取り付けます。絶対圧センサーが測定した水位データを、LPWAを介してSMEに設置したサーバーに集めて、それらのデータを使って氾濫の可能性を解析します。将来的には、その結果を益田市役所に送って、必要であれば益田市役所が住民に知らせる仕組みを構築する計画です。まさに「サイバー・フィジカル・システム(CPS)」を実現するわけです。将来的にはAI技術を導入し、気象データなどと連係させることで、「どこの町で、何時何分に水路が氾濫する」といった警報を出すシステムへと昇華させる考えです。

すでにプロジェクトは始まっています。IoTモジュールは2017年7月18、19日に設置し、実証・一部運用中です。さらに、このIoTプラットフォームは、ほかのセグメントにも適用可能で、例えば世界でも最先端の「水道用スマートメーター」に導入される予定です。
2018年オムロンMD視察(益田市内)

プロジェクト参画企業:AGD(慶應義塾大学含む),オムロン,SME,キュレーションズ(順不同)
2017年4月7日 初回評価
2017年5月11日 追加評価(機材提供 アーキテクトグランドデザイン株式会社,現地測定シマネ益田電子株式会社)
2017年7月18日~2019年2月1日
既存システムは、継続運用中 益田市土木課

2018年5月YRP研究開発推進協会表彰 推奨事例
WSN-IoT AWARD 2018 結果発表

簡易水位遠隔監視システム・益田市 (映像制作協力 株式会社オフィスタム)

 

プロジェクト・チーム(フェーズ1)実証実験の報告
・慶応義塾大学大学院:AGD・オムロン・慶応大3社共同研究の地方都市への移植
・AGD:アーキテクチャ(コンセプト提案含む)とスキーム構築、LPWAとネットワーク技術支援、益田市へのIoT教育
・オムロン:LPWA統合型環境センサーシステム(気圧センサーの応用)と簡易水位システム開発(コンセプト具現化)
・オムロン・SME:ダッシュボード設計とネットワーク構築、クラウド管理
・SME:システムの保守・管理
・島根電工:機材設置
・益田市:実験場(益田市内の水路と匹見地区の河川)、FTTHインフラ、水位計リアルタイム・フィールド情報の業務運用

水位氾濫予知システム効果
・ 益田市民への素早い対応・指示
・ 職員の負担軽減(巡回)と安全の確保
・ 各主要ポイントの水位の見える化と一元管理
・ 的確な水門調整による水量コントロール
・ ハザードマップへの活用
・ 取得データを都市開発へ活用

水位監視システムを運用しての感想 (益田市下水道課)
水位監視システムがなければ、取水樋門を閉めていても巡回して状況の確認が必要であることや、特に夜間は危険であり、水位状況もわかりにくい中では非常に助かっている。
雨の状況にもよるが、事前に取水樋門を閉めていても、水位監視システムの水位の上がり方によって協議を行い、樋門の開ける判断をしている。巡回しなければ判断できない
ところが、現場に行かず人の間隔ではなく数値(水位)で判断でき、速やかな樋門操作ができています。
有ると無いとでは全く対応が異なってくることから、非常に助かっています。

メディア掲載
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